牛レバーにおける腸管出血性大腸菌等の汚染状況~調査結果から~

ユッケが原因とされる腸管出血性大腸菌の食中毒の発生を契機に、生食用牛肉については「生食用食肉の規格基準(平成23年9月12日付け厚生労働省告示第321号)」が設けられ、生食用牛レバーについては平成24年7月から提供が禁止されました。しかしながら、牛レバーの代替商品がないなどの理由から、生産者や食肉加工、卸・小売、飲食業関係者、消費者から、安全な生食用レバーの提供再開が望まれていることを受けて、全国食肉事業協同組合連合会(以下「全肉連」という。)は、平成26年度に学識者、食肉事業者などで構成する「生食用牛レバー処理技術開発検討会」を設置し、昨年度まで、牛レバーの適正な処理方法の開発、検証などに取り組んできました。
当研究所は、全肉連から委託を受け、検討会で課題とされた牛レバー内部の腸管出血性大腸菌、カンピロバクター及びサルモネラ属菌の分布調査等を実施いたしました。今回のコラムでは調査結果の概要を紹介します。

一方、大阪府立大学が全肉連の委託を受けて行った腸管出血性大腸菌汚染状況の調査結果では、左葉部分を含む牛レバー303試料のうち、5試料からStx遺伝子が検出されました(陽性率1.7%)。Stx遺伝子が検出された部位は牛レバーの生食用に供しない部位のみであり、硬膜に覆われ外部損傷がほとんどみられない左葉部では陰性であったと報告されています(表1)。また、牛消化管各部位についてもStx遺伝子検出調査が実施されており、肝臓表面で7.6%が検出されたものの胆汁からは検出されていません。

大阪府立大学によるカンピロバクターの分離検査は、牛レバーと胆汁について実施され、左葉部の陽性率47%に比べ胆汁での陽性率は67%と高いものでした。当研究所の検出結果と併せて推察すると、カンピロバクターについては、胆汁、胆管を介した牛レバー内部汚染の可能性が考えられたとまとめられています。
これに対し、牛レバーの腸管出血性大腸菌の汚染は、と畜解体時及び牛レバー検査時の胆管や門脈の切除等牛レバーの表面の損傷を介する外部からのもので、カンピロバクターの汚染とは異なる経路からの汚染の可能性が考えられています。

2つの機関の腸管出血性大腸菌調査結果では、生食用として供されていた牛レバー先端部(左葉部)からは検出されませんでしたが、表面汚染についてはその殺菌が課題となることが明らかになりました。次の私のコラムでは、同時に行った過酢酸製剤による牛レバー表面殺菌の実施方法と調査結果等を紹介します。

文責:一般社団法人 食肉科学技術研究所
事業統括部微生物部 中島誠人