埼玉県は8月22日、8月7日に惣菜専門店で加工販売された「ハムいっぱいポテトサラダ及び、8月8日に販売された「リンゴいっぱいポテトサラダ」を喫食した13名が腹痛、下痢、血便、溶血性尿毒症症候群(HUS)等を主症状とする腸管出血性大腸菌O157(以下「O157」という。)による食中毒の発生があった旨公表しました。
当該ポテトサラダは、別の事業者が製造したポテトサラダをベースに当該店舗でハム、リンゴ等を加え調理したものでした。その後、群馬県において同一経営者の惣菜専門店が販売した惣菜を原因として同一の菌による食中毒が発生し、そのうち3歳の女児が死亡したことを9月13日、前橋市が公表しました。

国立感染症研究所における検査の結果、これらの事例以外に、同一遺伝子型の O157(O157VT2 株)の食中毒が関東地方のほか富山県、滋賀県等で発生していることが明らかになり、また、同一遺伝子型のO157(O157VT2株)が多くの患者から広域、散発的に検出されていることが判明しており、原因の解明が難しくなってきています。

国立感染症研究所の平成29年8月の感染症発生動向調査におけるO157の患者数は例年より多く、特に、関東地方を中心に第33週(8/14~8/20)のO157VT2株報告数は144 件で、直近5年間で最も流行した2016年の第33週(8/15~8/21)123件を超える水準となっています。
これらの事から、同一の食品又は人を原因として患者が広域に発生したものと思われます。
厚生労働省の平成28年の食中毒統計では、事件数1140件、患者数20,253人で、そのうち腸管出血性大腸菌を原因とするものは15件、253 人と少ない結果となっています。

一方、感染症発生動向調査では、平成28年の腸管出血性大腸菌を原因とする患者はO157:2,018 人、O26:763 人、O11:92人で、合計2,873人が報告されています。食中毒統計は医師が食中毒として診断したもののみが集計されますが、感染症発生動向調査は病院で診断されたものが報告され集計されており、この数値が我が国の腸管出血性大腸菌の発生状況を示しているものと思われます。
平成29年の感染症発生動向調査では9月13日現在2,116名の患者が報告されており、今回の事案であるO157VT2の患者は714名となっています。

今回の事例は、同一遺伝子型のO157食中毒が広域的に発生し、一見散発例に見えるが、同一菌による集団発生例Diffuse outbreak であり、昨年発生したメンチカツ(冷凍されたものでも菌の生存していることが確認された)の事例のごとく、今後、原因が一か所に収れんするものと思われます。
腸管出血性大腸菌食中毒は、近年、きゅうり、白菜等の野菜を原因とするものが見られますが、本菌は健康な牛の腸管内から検出されており、牛肉を取扱う食品事業者の方々はそのことを常に念頭に置き、また、家庭では、75℃1分間の加熱で確実に死滅することも確認されており、消費者にいたずらに不安を与えることなく、食肉は十分加熱することの必要性を情報として提供することにより、安心して消費していただくことが何より重要です。
なお、特定加熱食肉製品等の食肉製品については、食品衛生法に基づく規格基準を確実に遵守して製造することによりその安全が確保されていることは言うまでもないことです。

文責:一般社団法人 食肉科学技術研究所
理事長 森田 邦雄