私が前回担当した平成28年10月号の当コラムでは、牛レバー内部の腸管出血性大腸菌、カンピロバクター及びサルモネラ属菌の汚染状況調査結果を報告しました。
今回はその調査と同時に行った「過酢酸製剤による牛レバー表面殺菌試験」について報告するとともに、過酢酸製剤のメリットについて紹介します。

(注)食肉は牛、豚及び鶏の肉及び内臓をいうものであり、また、これらの肉には、枝肉、カット肉、ス
ライス肉、ひき肉を含む。
牛レバー表面殺菌の試験結果
(試験方法)牛レバーの表面をアルコールで消毒し十分乾燥させた後、菌数を約104CFU/gに調製した腸管出血性大腸菌、サルモネラ属菌、カンピロバクター及びリステリア・モノサイトゲネスを、コンラージ棒を用いて牛レバー表面100㎠に塗抹し、約5分間放置して菌を定着させた。その後、100㎠の半分を拭取り、残りの半分は200ppmに調製した過酢酸製剤を噴霧した後に拭取り、それぞれ菌数を測定した。過酢酸製剤の噴霧方法は、市販の噴霧器を使い15秒間レバーに噴霧し、その後30秒間静置した。
(試験結果)過酢酸製剤を噴霧後は、腸管出血性大腸菌、サルモネラ属菌、カンピロバクター及びリステリア・モノサイトゲネスのすべてにおいて、添加菌数の1/1,000以上に減少し、過酢酸製剤は濃度200ppmで十分効果があるとの結果が得られた。(表1)
菊池1)らや菅原2)らも過酢酸製剤の殺菌効果を報告している。

過酢酸製剤のメリット
次亜塩素酸ナトリウムや電解次亜塩素酸水は有機物に接触すると効力が急激に失活しますが、過酢酸製剤では有機物による失活速度が遅く、殺菌効果が持続するメリットがあります。
また、食肉表面殺菌だけでなく、洗浄後の工場のコンベアや作業台、まな板などに過酢酸製剤を併用することで、高い殺菌効果が見込まれます。
過酢酸製剤に含まれる過酢酸、過オクタン酸及び過酸化水素については、食品中で速やかに水、酸素、酢酸又はオクタン酸に分解され、酢酸とオクタン酸については、残留する量は僅かであり、安全に懸念をもたらすものではないとされていますが、一方で、「過酢酸製剤に含まれる過酸化水素の使用基準については、最終食品の完成前に過酸化水素を分解し、又は除去しなければならない。」とされていますので、過酢酸製剤を使用した食肉に過酸化水素が残留していないかどうかを確認しておく必要があります。
過酢酸製剤の食中毒細菌の殺菌効果及び食肉に過酸化水素が残留していないことの確認、過酢酸製剤を使用した食肉の品質に影響が無いことを官能的に評価したいなどのご要望がございましたら、ぜひ食肉科研にご相談ください。
【参考文献】
*1) 食品と開発Vol51.№10 55-58
*2) 食品と開発Vol51.№11 31-38

文責:一般社団法人 食肉科学技術研究所
事業統括部微生物部 中島誠人



