当研究所で実施している『食品の品質・安全に関わる検査』についての最近のご依頼内容の傾向なの一部をご紹介します。
食品表示法に基づく栄養成分検査
従来から次のような検査セットをご用意して様々な食品の栄養成分検査を受け承っています。「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」が発行されたことによりまして、これに従った相談もいただいています。
| ①栄養成分表示基本セット(義務表示項目) | 水分、たんぱく質、脂質、炭水化物、灰分、ナトリウム、熱量 |
| ②栄養成分表示基本セット+食物繊維 | 「糖質ゼロ表示」をお考えの際に利用できます |
| ③栄養成分表示基本セット+推奨項目 | 義務表示項目の他、表示が推奨される項目(食物繊維・飽和脂肪酸)に対応しています |
「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」とは?
日本の食品成分表は、正式には「日本食品標準成分表」(以下成分表)といい、我国で常用される食品の標準的な成分値が収載されているもので、家庭科、保健体育等の教育分野、食品学,栄養学等の研究分野、他にも学校等での給食管理や栄養指導など広く利用されています。行政分野では、国民健康・栄養調査や食事摂取基準の策定に活用される唯一の公的データ集です。さらに、2020年4月に完全施行された食品表示基準に基づく加工食品の栄養成分表示では、栄養成分を合理的に推定するための基礎データとしても利用されています。この成分表は、昭和25年に最初に策定されて以来、国民の食生活の変化に合わせて改訂を重ね、今回が8回目の全面改訂となりました。穀物・魚介や食肉など素材食品から調理済み食品まで全体で2,478食品の成分値が収載されています。収載食品は、文部科学省の食品成分委員会で、日本で日常摂取されている食品から、流通量や時代による食品の変化などを踏まえ選ばれています。成分値は、原則、文部科学省から委託を受けた分析機関が実際に食品の分析を行い、それに基づいて食品安全委員会で決定しています。
改訂のポイントは?
八訂での改訂ポイントは、①冷凍・チルド・レトルトなどの形態で流通する調理済み食品の充実、②炭水化物の細分化とエネルギーの計算方法の変更、③2016年以降に公表した追補成分表の統合・整合化の3つがあります。特に①の背景には、スーパーでの惣菜コーナーの拡張やセントラルキッチンで加熱調理した食品を配送する事業など『調理済み』の状態で提供されるチルドや冷凍の食品の需要が増大していることにあります。これらの食形態や施設給食の大きな変化に対応するため、「成分表(八訂)」では、従来、一部の冷凍食品等を収載していた18群「調理加工食品類」からready to eatの惣菜を想起させる「調理済み流通食品類」と名称が改められ、新たに41種類の調理食品の成分値が収載されました。例えば、七訂では「ハンバーグ(冷凍)」でしたが、八訂では「合いびき、チキン、豆腐」に、カレーも「ビーフ(レトルト)」が「チキン、ビーフ、ポーク」に細分化されていますし、新たに汁物では「とん汁」が、煮物では「親子丼の具」「牛飯の具」「肉じゃが」「筑前煮」など、これまでは家庭ごとの調理の多様性が不明なため原則として対象外とされていた食品が、大規模配食事業者によって、広域に同一レシピが適用される状況が生まれたこともあり、このレシピ等から栄養計算により算出した惣菜・料理の成分値が標準的な成分値として取り入れられています。
賞味期間設定の客観的な根拠のために期限表示ガイドラインに沿った検査を
賞味期間設定や賞味期間延長のために
既存製品については、2020年以降の新型コロナウイルス感染拡大により、消費者がある程度スーパー等でまとめ買いをするようになっている影響があるのかもしれませんが、賞味期間を延長できないかとお考えのお客様からのご要望があります。
異なる包装形態による比較試験
最近、スーパー等の食肉コーナーで、トレーパック包装だけではなく真空パック包装やスキンパック包装と呼ばれる商品を見かけることがありませんか?
我国においてもSDGs等の高まりにより、食品ロスを減らすための工夫として、包装資材や包装方法の種類を変更した商品が増加しつつあります。

包装資材や包装方法の種類を変更した場合の比較試験など、賞味期間の延長を目的とする保存試験のご依頼も増えています。一方で、期限表示ガイドラインに従った試験によって賞味期限を延長できても、「おいしさ」が保たれていなければ商品価値が下がってしまいます。そこで、当研究所では、保存試験と併せて、食肉であれば官能評価(食味)として、甘味、うま味、軟らかさ、多汁性などおいしさに関わる項目の経時的変化をみることをお勧めすることがあります。お客様の試験の目的に沿った試験内容、方法を提案させていただきます。

保存中の品質劣化(退色、酸化など)に関する試験
スーパーの陳列ケース等を想定した条件での食肉や食肉製品の保存中の色調の変化(退色)や酸化に関わる試験、酸化防止剤や過酢酸製剤使用の有無の違いによる保存期間の違い、保存中の変化などの試験検査にも対応しています。
食肉科研が受託する食品の品質・安全に関わる検査は、ご紹介したような各場面でお客様のお役にたつのではないかと考えております。ぜひともご利用いただけますと幸いです。

文責:一般社団法人 食肉科学技術研究所
事業統括部理化学部 吉田由香



