ベーコン類、ハム類、プレスハム及びソーセージの日本農林規格(JAS)の誕生は古く、昭和37年3月です。60年以上もの長い間、支持されてきた貴重な規格です。熟成ハム類、熟成ソーセージ類及び熟成ベーコン類のJASは平成7年12月にできましたので、早いもので25年以上が経過しました。
JASは5年ごとに見直しを行うことがJAS法で規定されています。見直しの結果、改正せずにそのまま維持するときは確認、必要があるときは改正、そしてその役目が終わった規格は廃止となります。
今回はJASに規定されている検査に関わる項目について、近年改正された内容を紹介いたします
品位の評価の変更~点数制から用語制に~
ハム・ソーセージ・ベーコンの品位は、「外観」(ソーセージの場合は「外面の状態」)、「色沢」、「香味」、「肉質等」のそれぞれの項目について評価、特級であれば「優良」、上級は「良好」、標準は「おおむね良好」であることとされています。
平成16年7月までは、それぞれの項目について5点法により評価する、とされていました。例えば、ロースハムの「外観」であれば「形態及びくん煙の状態が良好で、損傷及びよごれがないものは、5点とする。」、「形態及びくん煙の状態がおおむね良好で、損傷及びよごれが目立たないものは、その程度により、4点又は3点とする。」などです。そして、「外観」等4つの項目の平均点によって、特級であれば「平均点が4.5点以上であって、2点の項目がないこと」などの点数制でした。
それがなぜ「優良」などの言葉で書き表す方式に改正されたかと言いますと、平成17年6月のJAS法の改正によって、それまで登録格付機関(食肉科研)が検査のサンプルを集めて、検査、格付していた仕組みから、製造業者自ら格付をする、自己格付の制度に移行したことが影響しています。JAS認証工場の格付担当者が自社の製品を明確に採点することはなかなか難しいということ、国際的にも品位を点数で表しているところはほとんどないというのがその理由です。
言葉で書き表すと「優良」、「良好」、「おおむね良好」といった表現になりますが、その運用については、登録格付機関としての検査経験がある登録認証機関が工場の技術担当者に向けて技術的な調整、目合わせを行うこととなりました。この研修が1年に1回実施している「格付検査担当者技能研修会」です。残念ながら現在は新型コロナウイルス感染拡大により休止しています。
ベーコン類、ハム類の品質指標を赤肉中粗たん白質へ
現在、ベーコン類、ハム類、熟成ベーコン類及び熟成ハム類の品質指標には「赤肉中の粗たん白質」の基準が設定されています。特級及び熟成では18.0%以上、上級は16.5%以上、標準は16.5%以上、ただし、結着材料を使用してものは17.0%以上とされています。
これは平成21年7月のJAS改正によって改正されたものですが、それまでは、ベーコン類及び熟成ベーコン類は「赤肉中の水分」が、ハム類及び熟成ハム類は「赤肉中の水分」と「赤肉中の粗たん白質」の2つが品質指標とされていました(標準品は「赤肉中の水分」のみ)。それがコーデックス規格との整合を図る観点から、すべて「赤肉中の粗たん白質」の基準で統一され、水分の基準については削除されました。
ハム、ベーコンの国際規格には、CODEX STANDARD FOR COOKED CURED HAM(加熱塩漬豚もも肉)、CODEX STANDARD FOR COOKED CURED PORK SHOULDER(加熱塩漬豚肩肉)があります。ご存知の方もいらっしゃると思いますが、コーデックスではハムとベーコンは区別していないので、JASは国際規格と完全一致するものではありません。

また、コーデックス規格は無脂肪換算ですが、JASでは「赤肉中の粗たん白質」です。赤肉の中には脂肪も若干含まれていますが、それを除くことはできません。そのためJASはコーデックス規格より厳しい規格となっています。元々赤肉中の水分基準は増量防止のために設定されていましたが、糖類や塩類など、水に溶ける原材料を使用すれば相対的に水分は低下するため、増量防止の基準としては水分よりも粗たん白質が有効であると判断されました。
標準のベーコン類やハム類では、製品中で1%以下の植物性たん白や乳たん白などの結着材料を使用できます。その場合、結着材料由来のたん白は「赤肉中の粗たん白質」として検出されます。植物性たん白のJASでは植物たん白質含有率が50%を超えるものとされていることから、結着材料を使ったものは0.5%上乗せして17.0%以上という規格になりました。
平成21年7月のJAS改正では、「赤肉中の粗たん白質」及び「でん粉含有率」の測定方法に、分析妥当性が確認された方法が詳細に規定されました。その内容については、プレスハム、ソーセージにおける「水分」の分析妥当性確認と併せて、別の機会にお話したいと思います。

文責:一般社団法人 食肉科学技術研究所
事業統括部微生物部 中島誠人



