このコラムでは、折に触れ食中毒の発生状況等について報告させていただきました。事業者の皆様は、食中毒事故を起こさないためにHACCによる食品衛生管理を確実に実行するよう日々努められていることと思います。
今回は、消費者が食肉による食中毒に対してどのような意識を持っているのかについて、公益社団法人日本食肉消費総合センターが令和3年度に行ったアンケート調査結果から見てみたいと思います。
この調査は、消費者の食肉(牛肉、豚肉、鶏肉)の「購買状況、食肉に対する意識等」を調べ、国産食肉の安全・安心につながる要因を明らかにし、食肉に対する正しい理解・風評被害の防止等に資することを目的として行われています。
令和3年10月下旬にインターネット調査により実施され、対象者は「20歳以上、かつ本調査時点までの間に食肉(牛肉/豚肉/鶏肉)を自身で購入し食した方」で、1,800人から回答がありました。

「食中毒予防」としてふだん実施している事柄

【食品の購入時】
「消費期限・賞味期限を確認する」が58.4%で最も多く、「評判の店でも不衛生に見えたら買わない」が43.1%、「保存方法(要冷蔵、直射日光をさけて保存等)を確認する」が43.0%、「生鮮食材は鮮度のよいものを選ぶ」が41.1%の順。

【調理時】
「食材は使用前によく洗う」が37.7%で最も多く、「生の肉や魚を触った後は、洗剤を使って手洗いをする」が32.7%、「生で食べる野菜や果物を先に、肉や魚は最後に切る」が32.3%の順。

【食事時・家庭内】
「トイレの後に手洗いをする」が59.0%で最も多く、「食べる前に手洗いをする」が46.1%、「生肉料理は食べない」と「肉料理は中心部までよく加熱する」が38.5%の順。

【外食時】
「評判の店でも不衛生に見えたら入らない」が36.9%で最も多く、「食べる前に手洗いをする(おしぼりでの拭いは除く)」が27.1%、「メニューに載っていても生肉料理は食べない」が26.4%、「生の肉を取り扱う箸・トングは専用のものを使い、食べる箸は別の清潔な箸を使う」が21.4%の順。

「食中毒」に関する知識

「食中毒は、夏場の発生件数が多い」が52.3%で最も多く、「食中毒予防のためには、生もの(生肉、生魚等)の取扱いに注意が必要だ」が46.8%、「使用後のスポンジは、洗ったほうがよい」が36.6%、「冷凍しても、菌は死なない」が30.3%の順。
男女別に見ると、女性の方が「食中毒予防」としてふだん実施している事柄が多い。年代別に見ると、「食中毒予防」としてふだん実施している事柄は、若い世代が実行率が低く、60代以上では実行率が高くなっている。

報告書から感じたこと

コロナ渦の調査、ということもあって、「トイレの後」の手洗いは当然と思っていましたが、6割未満であったのは驚きでした。「生の肉や魚を触った後」の手洗いや「野菜や果物よりも肉や魚を最後に切る」が4割に満たなかったことからも、家庭での衛生的な食肉の取扱いは課題なのかもしれません。
食中毒の経験についての調査では、いずれの食肉・食品でも若い世代の方が食中毒の経験が多く、特に20代で多い結果でした。近年の食中毒の発生は飲食店等で多い現状を踏まえれば、このような結果になるのでしょう。
一方で、食肉の安全性に関しては、幅広い項目に対して高い関心が寄せられていることがわかりました。「関心がある計(非常に関心がある+やや関心がある)」の割合が最も高かったのは、「食肉中の食中毒菌(サルモネラ、カンピロバクター、腸管出血性大腸菌など)の汚染」が57.6%、「鳥インフルエンザ」が57.5%、「食肉の消費期限改ざん」が57.3%、「食肉の産地偽装」56.0%、「豚肉加工品(ハム・ソーセージ)の発がん性」54.0%、「豚インフルエンザ」53.6%、「牛肉・豚肉の発がん性」52.5%の順でした。
このような高い関心、特に食中毒菌についての関心に対して、正しくわかりやすい知識を提供し、日頃の一人一人の衛生的な行動に結びつけることが大事ではないかと思いました。
最後に、この調査では「食肉に関する消費者意識」では、「食肉を食べることは、必要な栄養素を得るために必要だ」が64.6%で最も多く、「食肉は、健康的でバランスのとれた食生活に欠かせない食品だ」が60.6%と続き、「食肉の栄養面でのメリットは、他のタンパク源で容易に補うことができる」は39.3%にとどまっています。食肉が必須食品である意識は、非常に強いと結ばれています。


*「食肉に関する意識調査報告書」(令和3年度公益社団法人日本食肉消費総合センター)を引用させていただきました。
http://www.jmi.or.jp/info/survey_files/file0/68.pdf

文責:一般社団法人 食肉科学技術研究所
専務理事 猪口由美