皆様ご承知のように、食肉科研は厚生労働大臣に認可を受けた登録検査機関として、食肉、食肉製品、水産食品などについて輸入時における食品衛生法による命令検査、自主検査を行っています。また、ライフスタイルが変化する中、円高やデフレの影響も受けて輸入量が大きく増加している野菜およびその加工品についても検査量が増えてきています。そこで検査法の開発と、ここ最近、食肉科研が開発した主な検査項目の概要についてご紹介します。

検査法の開発の概要

輸入食品の検査は国に替わって行うものですので、妥当な結果が得られることを客観的に評価することが求められています。具体的には厚生労働省の「食品中に残留する農薬等に関する試験法の妥当性評価ガイドライン(平成22年12月24日付け食安発1224第1号)」に従って、分析対象である農薬等を定められた量加えた試料を1日2回、5日間分析する試験(「枝分かれ試験」といいます。)を行います。こうして試験で得られた平均値と承認された標準値の一致の程度(「真度」といいます。)等いくつかの定められたパラメータについて妥当性を評価し、目標値をクリアすることを確認します。食肉科研では検査法開発担当部署がその結果を所内の関係者に報告し検査料金などについても議論し、妥当と判断された後、承認を受ける手続きを経て受託可能になります。さらに命令検査として受託するためには厚生労働大臣に申請し認可を受ける必要があります。

開発した検査項目の概要

【プロシミドン(PRD)】
ジカルボキシイミド系殺菌剤で、植物病原菌(ボトリチス属菌、スクレロチニア属菌等)に対し、菌糸の伸張生育を阻害することにより、殺菌効果を示すと考えられています。中国産ブロッコリー、中国産にんにくの茎、タイ産及びベトナム産ドリアンから検出されており、命令検査の対象になっています。
【トリアジメノール(TDN)】
DMI 殺菌剤(脱メチル化阻害剤)で、病原菌の細胞膜に作用して殺菌効果を発揮するトリアジメホンの代謝物で植物及び土壌中で生成されています。輸入生鮮にんじんの9割以上を占める中国産にんじんから検出されており、命令検査の対象になっています。
【ジメトモルフ(DMM)】
ケイ皮酸誘導体殺菌剤であり、菌体の細胞壁の形成を阻害することにより、作用すると考えられています。トリアジメノールと同じく中国産にんじんから検出されており、命令検査の対象になっています。
【アビラマイシン(AVN)】
アビラマイシンは、1961 年に発見されたオルトソマイシン系の抗生物質で、アビラマイシンA(60 %以上)、アビラマイシンB(18 %未満)などの混合物からなります。アビラマイシンは、主にグラム陽性菌に抗菌力を有し、対象動物で吸収されにくく、残留のおそれが少ないこと等の特長から世界的に開発が進められました。
海外では、鶏、七面鳥、豚及びウサギを対象とした動物用医薬品として使用されていますが、日本では、動物用医薬品としては承認されておらず、豚及び鶏を対象とした飼料添加物として指定されています。昨年末、オーストラリア産牛肉より検出され、当該施設が自主検査の対象となりましたが、現在(2022(令和4)年2月)は解除されています。

当研究所では主体とする食肉・食肉製品だけでなく、お客様のご要望にお応えするため、様々な食品の検査法の開発を進めてきました。その結果、ご紹介した農薬以外にもチアメトキサム(中国産たまねぎ、中国産にんにくの茎)やEPN(タイ産グリーンアスパラガス、タイ産おくら)などについても検査受託が可能となっています。
これからも食肉科研はお客様のご要望にお応えし、真の値を追求し、試験検査結果を正確に確実にお届けしていきます。

文責:一般社団法人 食肉科学技術研究所
品質保証部 柴田清弘