JAS認証工場への定期確認調査は、JAS認証工場が農林水産大臣の定める認証の技術的基準に引き続き適合しているかを確認するための調査で、書類調査、実地調査及び製品検査の3点セットによって行われます。
JAS法では定期調査の間隔は1.5年以内とされていますので、当研究所は、概ね1年に1回の頻度で、JAS認証工場にご協力いただきながら日程調整し、9月~3月の間(12月の繁忙期は除く。)に実施しています。東京近郊以外は宿泊を伴うコースを組み、できるだけ効率的に実施するよう計画しています。
新型コロナウイルス感染拡大は、この調査の実施にも大きく影響を及ぼしています。
リモート調査の実施まで
新型コロナウイルス感染拡大が始まった2020年2月中頃から、次第に、定期調査の予定を延期してもらえないか、というご相談が増えてきました。当初は、しばらくしたら感染拡大は収まるのではないか、という(今思えば甘い)見通しでしたので、延期のご希望に応じていました。
しかし、3月中頃になると、いよいよ感染拡大が進み、移動が厳しい状況になり、JAS定期調査は1.5年以内に実施できなくなるかもしれない事態となりました。これはハムソーセージだけでなく、すべての品目に共通しますので、農林水産省は、2020年4月1日、新型コロナウイルス感染の影響に伴う諸情勢に鑑み、JAS定期調査の「1.5年」の期間を6ヵ月まで超過することを認める(つまり2年まで延長する)方針を決定しました。同時に、緊急事態の状況の中での特例として、訪問調査と同水準が確保できる場合は「リモートでの調査」を認めることとしました。6ヵ月の延長は、これまでどおり実際に工場を訪問しての調査が望ましために認めるものなので、この猶予期間を生かして対応してほしいが、やむを得ずリモート調査で対応する場合は、登録認証機関は調査手法をリモート調査マニュアルに定め、独立行政法人 農林水産消費安全技術センター(FAMIC)に提出するように、という指導でした。
そこで、食肉科研は実施期限内に訪問が難しいケースを想定して「リモート調査実施要領」を作成し、FAMICに届出しました。令和4年1月現在、訪問調査が困難で、リモート調査のお申し出があった工場には、それを運用して実施しています。
リモート調査実施方法
リモート調査の実施に当たっては、スマートフォン、携帯端末、PC等を利用し、音声、画像及びデータの共有により行い、できる限りリアルタイムで実施します。また、調査を通してセキュリティ及び機密性を確実に維持する処置を講じています。
食肉科研のリモート調査のツールはzoomです。双方の顔が見える環境が整っていることが前提ですので、パソコンにカメラを搭載していただきます。施設設備の調査は、事前に図面をお送りいただいた上で、可能な限り、リアルタイムで動画を撮影しながら工場内をウォークスルーしていただきます。しかし、工場内はWi-Fiが届かないことが多々ありますので、その場合は、指定した場所、機械器具等を写真撮影していただきます。
品質管理の実施状況については、指定したアイテムの内部規程(製造基準書)を事前にお送りいただきます。そして、当該アイテムの製造記録を当日パソコンに映していただきます。
その他に、格付の実施状況についてもJASマークの受払い記録、合否判定の記録等を調査します。
これまで数回リモート調査を実施して感じましたが、製造記録をカメラで映していただく方法ではなかなか焦点が合わず、難しいようです。そのため、予め製造記録をPDFに落としていただき、それを映しながらご説明いただく方法をお勧めしています。
動画(写真)撮影、事前の接続テスト、書類のPDF化など、工場担当者のご負担は訪問調査よりも多くなっているかもしれません。
今後に向けて
これまで農林水産省は、感染状況及び登録認証機関の要望を踏まえ、数回に渡りリモート調査実施期限を延長しています。令和4年1月現在、令和4年3月末までの延期を決めています。また、当初は、新規認証工場の場合はリモート調査を認めていませんでしたが、現在ではリモート調査を認めています。(認証後であっても訪問が可能になった時点で訪問することが要件です。)
令和4年4月以降については、感染状況を見ながら決定されます。JAS定期確認調査は、工場の皆様と様々意見交換できる貴重な場ですので、可能であれば訪問したいと考えています。その意味からも、1日も早く感染が収束することを切に願います。

文責:一般社団法人 食肉科学技術研究所
専務理事 猪口由美



