ご存じの方もいらっしゃると思いますが、ISO/IEC17025は、国際標準化機構によって策定された、試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項の国際標準規格です。当研究所は2015年3月にペリージョンソン ラボラトリーアクレディテーション インク(PJLA)から、亜硝酸根について認定を受け、その後サルモネラ菌及びリステリア・モノサイトゲネスについても認定を受けています。また、ISO/IEC17025は2017年11月に改正され(ISO/IEC17025:2017)、当研究所は、改正後の規格にも対応しています。
今回はサルモネラ菌とリステリア・モノサイトゲネスの認定について紹介します。
サルモネラ菌
ISO規格の使われ方として、例えば、EUに牛肉を輸出する施設は、「EU輸出食肉の取扱要綱」にしたがって、一般生菌数、腸内細菌科菌群(定量法)及びサルモネラ属菌の検査を、決められた頻度で実施することが求められています。その際の試験法も指定されていて、サルモネラ属菌の場合は、ISO6579に従うとされています。ISO6579-1は邦訳版が発行されていませんが、標題は、「フードチェーンの微生物学-サルモネラ菌の検出,計数及び血清型決定に関する水平法―第1部:サルモネラ菌類の検出」と訳されています。ちなみに、ISO6579-2は、MPN法(最確数法)によるもので、量を確率論的に推計する方法です。
当研究所はISO6579-1によるサルモネラ菌の試験を行ってきた実績がありますが、ISO/IEC17025の認定を受けることによって、さらに信頼性が高まることに繋がったのではないかと思っています。
サルモネラ属菌についての我が国の食肉製品の公定法は、平成27年7月29日付の厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知に示されています。通知に示されている試験法は、国際整合性を図る観点から、国立医薬品食品衛生研究所においてISO6579-1との同等性が確認されています。
当研究所は、国立医薬品食品衛生研究所が試験法の同等性確認のために行った共同試験(コラボスタディ)に参加しました。そのときの経験が、後のISO認定取得に大いに役に立つこととなりました。
リステリア・モノサイトゲネス
リステリア・モノサイトゲネスについては、平成26年12月に非加熱食肉製品及びナチュラルチーズの成分規格に、コーデックスの国際基準と同じ100cfu/g(検体1gにつき100以下)が定められ、その試験法も設定されました。その試験法のうち、定量試験については、「ISO11290-2」との同等性が確認されています。
当研究所がISO/IEC17025:2017で認定を受けている検査方法は、「ISO11290-2によるリステリア・モノサイトゲネスの定量試験」です。
本試験法では、1試料から5検体をサンプリングし、それぞれについて3枚の選択分離寒天培地に塗布します。そのため、1試料当り15枚と、多くの培地を必要とします。培地上に定型集落が確認されたら、さらに性状確認した上で規格基準適合性を判定しますので、長い時間や多くの試薬等を要します。
このように、リステリア・モノサイトゲネスは複雑な試験法ですが、イタリアやスペインなどから輸入される非加熱食肉製品が増加している現状を踏まえれば、検査機関が国際規格にしたがった試験法による結果を提供する重要性は高まっていると思います。
検査の信頼性確保
ISO/IEC17025においては、外部精度管理への参加が強く求められています。当研究所は、ISO17025の認定を受けているサルモネラ菌及びリステリア・モノサイトゲネスだけでなく、一般生菌数、黄色ブドウ球菌などの微生物試験項目、残留農薬等についても外部精度管理に参加しています。残念ながら亜硝酸根については試料配付機関がありませんので、同一サンプルを複数の試験機関で試験する試験所間比較によって技能評価を行っています。
また、ISO17025の2017年の改正では、「公平性のリスクの特定」、「リスクへの取組み」が強調されています。「リスク」は、何かを新しく始める、または何かを変更することにより生じます。これを念頭に置いた上で、日々の試験検査業務の中で何かを計画する(例えば、設備を購入する、手順書を改定する、要員を増減する)際にリスクを考慮して決定する、そういった意識を持つことが求められています。このような取組みは、ISO認定試験所としてだけではなく、厚生労働省登録検査機関、JAS登録認証機関としても必要なことと捉えています。
認定を受けた試験法によって試験したときは、国際的に通用する試験結果であることがわかるように、試験方法を、サルモネラ菌の場合は「ISO6579-1」と、リステリア・モノサイトゲネスの場合は「ISO11290-2:2017」と明記して発行いたします。また、試験検査成績書を英文で発行することもできます。
社員・会員の皆様方の輸出戦略に、試験検査の面でご協力できる体制を整えておりますので、ISO/IEC17025認定を取得、維持している当研究所をご活用いただきますよう改めてご案内いたします。

文責:一般社団法人 食肉科学技術研究所
専務理事 猪口由美



