2021年2月号では、当該事業における2019年度の比較試験結果(中間報告)の一部を紹介しました。中間報告では、国産豚は海外産豚に比べ、色調はロース芯において赤みが強い、食肉を構成する基礎成分ではロース芯内の脂肪含量が高い、旨味成分であるイノシン酸含量が高い、脂肪の質においては、不飽和脂肪酸の割合が低く酸化されにくい脂肪であること、物性においては、軟らかく、きめが細かく、加熱損失率が低く
ジューシーであること、官能評価では、軟らかく、多汁性があり、かつ適度な線維感をもつなどの傾向が認められました。これらをふまえ、2020年度は、国産豚の試料数を増やして肉質評価を行いました。
本事業2年間で分析した総試料数は57検体で、その内訳は、国産品として国産銘柄豚(チルド)12試料、国産三元豚(チルド)9試料、輸入品として北米産豚(チルド)2ヵ国18試料、欧州産豚(フローズン)4ヵ国18試料です。今回は、2年間の分析データから得られた官能評価の結果と各試験区の豚の肉質の特徴について紹介いたします。結果は、国産銘柄豚、国産三元豚、北米産豚、欧州産豚の4試験区の各平均値を算出して比較しました。

(1)官能評価試験の方法

各試料を物性(軟らかさ、多汁性、線維感)、味(甘味、うま味、脂肪の口溶け)、香り(豚肉の好ましい香り、脂肪の甘い香り)の3つの観点から、品質に関わる8項目について、焼肉法により評価しました。さらに総合評価として、物性、味、香りのバランスの良さを評価しました。評価は採点法による+1~+6の6段階スコアとしました。スコア尺度は、軟らかさの項目の場合、評点が高いほど軟らかいこと、その他の項目については、評点が高いほどその強度が強いことを表しています。

(2)官能評価結果及び各試験区の豚肉肉質の特徴

①官能評価結果

各試験区のスコア平均を表1に示します。

②豚肉肉質の特徴

官能評価の結果より、各試験区の豚肉は異なる特徴を示しました。以下に官能評価から得られた各試験区の豚肉の特徴について記載しました。バランスの良さを表す総合評価では、国産銘柄豚>国産三元豚>北米産豚>欧州産豚の順で高い結果でした。

(3)官能評価項目と相関が認められた成分

官能評価に影響を与えた成分を明確にするため、官能評価データと各種分析データについて統計処理を施しました。その結果、『総合評価』においては、一般成分ではロース芯内の「筋肉内脂肪含量」、脂肪の質では酸化度の指標である「過酸化物価値」、物性では「加熱損失率」、「きめ(単位面積当たりの筋線維束数)」、「硬さ」、「咀嚼性」との間に相関が認められました。特に物理化学的成分に係る項目に強い影響を受けていました。
官能評価項目に影響した各種分析値との関係については、その要因も含めこれまでの試験結果を当研究所のHPの「お知らせ」欄に、報告書として記載しています。興味のある方はご覧いただければ幸いです。(http://www.shokunikukaken.jp/topics/1870/)

文責:一般社団法人 食肉科学技術研究所
事業統括部理化学部 吉田由香