当研究所では、本年1月から『原料肉勉強会』を開催しています。新型コロナウイルス感染拡大によってオンライン講習の形式とさせていただいております。開催単位は希望される企業様ごとで、複数の事業所やご自宅からでも参加いただくことができます。

開催のキッカケ

当研究所では、設立以来、一般社団法人 日本食肉加工協会会員の皆様を中心に、食肉、食肉製品等の検査のご依頼を承っていますが、食肉については保存試験のご依頼も多くいただくようになりました。今年6月に迫っているHACCP制度化を見据え、設定されている賞味期限の根拠データとしてもご活用いただいているものと思われます。
食肉のクレーム品についての判定のご依頼も多くいただきます。数年前のクレーム品は「異物」の判定がほとんどでしたが、現在は「食肉そのもの」についてのご依頼が多く、「食肉の色についてのクレームを受けたが、これは何に由来する変色なのか」、「お客様から異常な臭いがするとお申し出があったが、何のニオイなのか」、それを納入先に説明したいので、わかりやすく記述した成績書を発行してほしい、といった多彩なご依頼内容となっています。
商社様などからは、「食肉は熟成温度、期間、方法によってどのような違いが生まれるか」、「単に熟成期間が長ければよいというものでもないと思うが、推奨される熟成条件はあるか」、など高度なご依頼、ご相談もいただくようになりました。
こうした状況が背景となって、食肉科研がこれまで検査を通じて蓄積してきた食肉についての知見を、一般情報として提供する講習会を開催することは意義があるのではないかと考え、開催することにいたしました。

講習内容

勉強会の講習は2題あり、その後の質疑応答を含め約2時間の講習です。まず1題目は、川島理事長より「最近の家畜伝染病の発生と対策について」と題し、家畜伝染病に関連する主な法律の概要とそれぞれの法律の関連性についてお話した後、高病原性鳥インフルエンザやCSF(豚熱)の発生状況等について、食品
安全委員会の最新情報を交え、わかりやすくご説明します。2題目は、『‟筋肉”から‟食肉”への変化、そして“食事における役割”』です。家畜の生体から、私たちが食べる肉になるまでの工程に沿って、「と畜と加工」、「畜種と品種」、「格付」、「熟成」等について中村幸信理化学試験検査課長代理よりお話しします。中村は日本獣医生命科学大学名誉教授、故沖谷明紘先生に師事し、食肉の検査経験も豊富です。

基本的知識として、食肉の格付などについてお話しした後、皆様の関心が高い「熟成」についてもお話しします。食肉は熟成によって軟化と味の改善が得られること、軟化のメカニズムやうま味にはグルタミン酸、アスパラギン酸だけでなく、ペプチドの作用があることなどについて、わかりやすくお話しします。
最後にご質問を受け付けます。参加人数がそれほど多くないときは、こちらからの呼びかけに、「○○です。スライド5の△△について質問があります。」と音声で質問していただきます。人数が多い場合は、オンラインならではの方法ですが、「チャット」でご質問を寄せていただき可能な限りその場でお答えしています。

今後に向けて

この勉強会の運営上の良さは、企業様ごとなので日程調整がしやすいこと、気兼ねなくご質問いただけること、オンラインの特徴として遠方の方も参加しやすいことなどがあります。また、講習時間は約2時間ですので皆様のお仕事の時間の調整がしやすいこともあるかと思います。
一方で、お互いに顔が見える講習会であれば、もっと安心してコミュニケーションが取れるのではないか、ということも感じました。そうは言っても、当分の間対面講習は難しいと思われますので、しばらくはオンライン講習となりそうです。
講習内容については、微生物的見地も加えるなどして、さらに良いものにバージョンアップさせ、質疑応答はよりスムーズに進められるようにしたいと考えております。
最後に…この勉強会は有料講習ですが費用はリーズナブルですので、ご希望がございましたらお声がけください。皆様のご利用をお待ちしています。

文責:一般社団法人 食肉科学技術研究所
専務理事 猪口由美