近年、輸入豚肉が増加する一方、国産豚肉に対する消費者ニーズは依然として高く、国内各地で銘柄豚の開発普及が積極的に行われています。しかしながら、2018年末からTPP11協定、日EU経済連携協定、日米貿易協定等が順次発効されており、これに伴い今後豚肉の国際競争は益々激化することが予想されます。
食肉科研では、海外及び国産豚肉の肉質の違いを客観的、科学的に明らかにするために、2019年度から2年間の計画でJRAの補助事業として標記事業を実施・継続しているところです。今回のコラムでは本事業の概要等について紹介します。

(1)事業の内容

TPP11やEU加盟国等からわが国に輸出される豚肉及び国産豚肉の肉質について、理化学成分分析、物理的特性分析を行うと共に官能検査(食味)を行い、両者の比較調査を実施します。

(2)調査対象国

調査対象国は、国内市場の状態を反映させるため、海外産豚肉については財務省発表の「日本貿易月表(2018年)」を参考に、わが国において輸入数量の多いアメリカ、カナダ、スペイン等を中心に6か国を、国産豚肉についてはできるだけ生産数量が多く品種、飼料、飼育環境等で特色を出し差別化を図っている銘柄豚3種類及び生産数量の多い一般的な三元豚3種類を選択しました。

(3)調査項目

各対象国から搬入した豚ロース肉について、食肉を喫食した時のおいしさの要因とされる「味」「食感」「香り」の3つの観点から、理化学的成分分析、物理的性状分析、官能検査を軸に調査し両者の肉質を比較しました。
①理化学成分:水分・ビタミン類・ミネラル類等の基礎栄養成分、遊離アミノ酸等のうま味に関連する成分、脂肪酸等の脂肪の質に関連する成分
②物理的性状:テクスチャー等の食感に関連する項目、加熱損失率等のジューシーさに関連する項目、その他に色調・ロース芯断面積・脂肪交雑等
③官能検査:食感・味・香り・脂肪の質を表す品質特性について採点法による評価

①及び②の肉質に関わる成分値と③の官能検査の関係から、海外及び国産豚肉の品質の違いを解析します。調査の結果については、今後このコラムで紹介いたします。

文責:一般社団法人 食肉科学技術研究所
事業統括部理化学部 吉田由香