本年3月11日、令和元年度食品、添加物等の夏期一斉取締り実施結果が厚生労働省ホームページに掲載されました。夏期一斉取締りは、夏期に多発する食中毒の発生防止を図るとともに、積極的に食品衛生の向上図る見地から、施設への立入検査、収去検査だけでなく、食中毒の発生状況を踏まえ、特に重点的に監視する項目を設けて毎年全国一斉に行われています。

実施結果

許可を要する営業施設については、全国で346,484件立入り検査が行われました。そのうち、違反発見施設数は10,180件、約3%の施設で違反が発見されました。その内訳は、施設基準違反が2,894件、管理運営基準違反が7,836件、製造基準等違反が85件です。立入検査の結果、違反が多くみられたのは「旅館」で、次に多かったのは「一般食堂・レストラン・料理店」でした。
食肉製品製造業では、713件実施され、違反施設数は24、違反率は3.9%でした(違反合計件数は違反施設数と異なります。)。営業許可施設全体からすればやや高い割合かもしれません。内訳は、施設基準違反が7件、管理運営基準違反が17件、製造基準違反はなく、割合は平成30年度とはほぼ同じでした。

処分件数は営業禁止が7件、営業停止が30件で、食肉製品製造業では処分はありません。「営業停止」は処分時に期間が決まっていますが、「営業禁止」には期間の決めがなく、改善の見込みがない場合は、営業許可取り消しとなる場合があります。
収去検査では、食肉製品及び食肉加工品の国内品では647件が検査され、成分規格違反は1件でした。

レアハンバーグ等の加熱不十分な挽肉調理品を取り扱う施設について

厚生労働省は、いわゆるレアハンバーグ等の、加熱不十分な状態で食べさせることを想定している挽肉調理品を客に提供している飲食店等を営む事業者に対し、その製品の特性上、内部にまで食中毒の原因となる菌等が存在するおそれがあるため、中心部の色が変化するまで、十分に加熱する必要があることを周知し、監視指導を徹底するよう各都道府県等に指示しており、特に重点的に監視する項目として監視が行われています。
令和元年度夏期一斉取締りでは、94施設に立入りを実施し、そのうち、通知文書、パンフレット等の配布(情報提供)又は通知文書、パンフレット等を用いて指導した施設数は87、また、不十分な加熱での販売・提供について指導した施設数(実数)及び指導した内容(のべ数)は71でした(情報提供のみの施設は除く。)。約76%の施設に対して指導がなされています。平成30年度の年末一斉取締りでも立入りを行った50%以上の施設に指導がなされていました。最も多い指導内容は「加熱不十分な食肉について、中心部まで十分に加熱して販売・提供すること」であり、この指導は平成30年度の年末一斉取締りでも最多となっています。
飲食店では、お客様自らが調理したり、トングなど器具の使い分けをお客様にお願いすることもあるため対応が難しい面もありますが、指導が十分に周知されていない現状にあると言えるでしょう。
今後HACCPの制度化によって、飲食店において結着肉や挽肉製品は75℃1分間以上加熱することが浸透するとともに、飲食店を利用するお客様にもその重要性を理解していただくことが期待されます。

(a) 加熱不十分な食肉について、中心部まで十分に加熱して販売・提供すること
(b) 加熱不十分な食肉について、販売、提供を中止すること
(c) 加工時、調理時の衛生的な取扱い、他の食材への交差汚染の防止(器具の使い分け、消毒、手洗い等)を行うこと
(d) 飲食に供するまでに必要な加熱を行うための具体的な器具を確実に客に提供すること(客が自ら加熱調理を行う施設の場合)
(e) 一般消費者への販売・提供後に十分な加熱や器具の使い分けをすること等の情報提供を行うこと(例 食肉販売店、客席にコンロ等の加熱設備がある飲食店)
(f) その他の指導
令和元年度食品、添加物等の夏期一斉取締り結果(厚生労働省HP)
https://www.mhlw.go.jp/content/000606869.pdf

文責:一般社団法人 食肉科学技術研究所
専務理事 猪口由美