JAS法におけるJAS認証工場は、検査を第三者検査機関に委託してその結果を受けて格付する、いわゆるB認証工場と、自ら検査してその結果をもとに格付する、いわゆるA認証工場があります。現在ハム・ソーセージの場合は、すべてがB認証工場です。A認証工場は自ら検査しますので、検査にかかる人的要件として、格付検査担当者は「格付検査担当者技能研修を定期的に受講している者」を置くこととされています。この技能研修は、B認証工場であっても検査担当者に役立つものと考え、毎年開催しています。
本研修会は、特に官能検査について、第三者検査機関である食肉科研と同じ評価を行う技能を習得、維持するための実技講習が中心です。今回のコラムではその実習についてご紹介いたします。

研修内容

受講者全員が実技講習できる人数で開催していますので、およそ20名程度で、4~5名ずつの班に分かれ実習を行います。
◎官能評価実習
ベーコン、ロースハム、ボンレスハム、ウインナーソーセージ、フランクフルトソーセージを全員が試食し、外観、色沢、肉質、香味がJAS規格に適合するかを評価して発表していただきます。どういった点がJAS規格に適合していないのかについても具体的に説明していただきます。その後食肉科研の評価をお伝えし、官能検査の水準調整を行います。特に熟成風味の評価については意見が分かれるところで、ベーコンやハムなどの単味品は特に厳しい評価を下される傾向にあります。それは、製品についての情報なしにブランイドで評価していただくためではないかと思います。
◎赤肉採取実習
約500gのブロックベーコンから赤肉を採取していただきます。日々赤肉採取をしている我々検査員でも容易に採取できない形状のベーコンもありますし、日頃ナイフを扱っていない方もいらっしゃいますので、皆さん慎重に作業されています。同じ班のメンバーに、「ここを取れるのではないか」とアドバイスを送ったり、食肉科研の検査員に「ここは採取しないのか」と質問されたり、熱心に取り組まれています。「これだけしか赤肉が取れないのか。」と驚かれることもあります。
◎水分検査実習
JAS規格の水分測定方法に採用されているアルミ箔カップを用いた水分検査実習です。この方法は、容器の恒量を取る手間がかからない、容器を洗浄する必要がないなど秤量缶に比べてメリットがありますが、認証工場で採用しているところは少ないようです。

お持ち帰り試料

お帰りになって復習していただけるよう、いくつかの製品をお持ち帰りいただきます。また、技能研修会で赤肉採取していただいたベーコンや各工場で水分、粗たん白質等を測定していただけるよう調製した試料もお持ち帰りいただきます。その他に、五味識別テスト用溶液(5本1セット)もお渡しします。それらの正解は、修了証をお送りするときにお知らせしています。

本研修は、例年、品質管理責任者等の資格取得のためのJAS専門講習会に続けて開催しており、次回は2020年1月下旬を予定しています。他社製品を数多く評価できる貴重な研修会であり、参加者間の人脈づくりにもご活用いただけると思います。ご参加をお待ちしています。

文責:一般社団法人 食肉科学技術研究所
事業統括部微生物部 中島誠人