食肉製品の場合、製品規格に生菌数基準は定められていませんが、流通及び販売の施設における衛生管理の状態を監視し、必要ある場合は当該施設の改善指導を行うための指導基準*1が通知されていて、検査法も示されています。各保健所はこの基準にしたがって収去試験を行っています。

法的に規定された食品別の生菌数検査法(一部抜粋)
我が国のいわゆる公定法で示される一般生菌数の培養条件は、食品により違いがあります。食肉製品の微生物規格の指導基準における一般生菌数の検査は、氷雪の試験法に準拠するとされており、標準寒天培地を使用した混釈培養により、35±1.0℃で 24±2時間培養します。食肉の場合は、公定法がありませんので、食品衛生検査指針により検査されているケースが多くあると思いますが、食品衛生検査指針では、35±1.0℃で48±3時間とされています。検査の希釈に使用する希釈水の種類も様々あり、食塩濃度を 0.85%に調製した滅菌生理食塩水が一般的ですが、冷凍食品検査などは、リン酸一カリウムと水酸化ナトリウムの混液を0.125%調製した滅菌リン酸緩衝希釈水を使用することが法令で規定されています。食肉製品の場合、指導基準では示されていませんが、当研究所では加熱による損傷を考慮し、0.1%ペプトン加滅菌生理食塩水を使用しています。

ISOにおける生菌数検査法
国際規格であるISO法は、他のISO規格を必要とすることが特徴で、例えば、ISO48331の規格で試験を行う場合、微生物試験の基礎的な要求事項はISO7218に定められています。その他に、試料調製に関わる規格(ISO6887-1)、培地調製に関わる規格(ISO/TS11133-1)と、1つの試験を行うにも、複数のISO規格が要求されています。
ISO法による生菌数検査は、低温細菌と中温細菌を同時に測定できる方法を採用しているため、30℃、72時間培養し、集落を測定します。混釈用培地はPlate count agar(PCA)を使用します。菌数の測定方法も異なり、連続する2段階の希釈で15~300個の集落が得られた4枚の平板を用いて算出します。その結果、同じコロニー数でもISO法と食品衛生検査指針では算出結果が異なります。
(例)10倍希釈が150、135、100倍希釈が24、21の場合
ISO法…(150+135+24+21)/2.2×10=1500(1.5×103)CFU/g
食品衛生検査指針…(150+135)/2×10=1425(1.4×103)CFU/g
自主衛生管理における生菌数検査
自主衛生管理では、公定法だけではなく、むしろ簡易で結果が早く得られる検査法が求められます。簡易迅速検査法の一部をご紹介します。
○表面付着菌検査法:既製の寒天培地を検体の表面に圧着して微生物を培地面に移し取り、そのまま培養して菌数を測定します。ぺたんチェック(栄研)などのキット化された商品では培地の調製も不要です。
○乾式フィルム培地法:プラスチックフィルムや不織布などに培地成分を乾燥状態でコーティングしてあり、そこに検査液を接種し培養後菌数を測定します。ペトリフィルム(3M)、コンパクトドライ(日水製薬)、MC-Media Pad(サニ太くん、JNC)などはAOACの国際認証を取得した商品もあります。
このように自主管理検査では、検査対象製品の加熱処理条件などを考慮した培養温度及び時間を検討し、目的に合った検査方法を採用することが望まれます。また、簡易、迅速法を有効に活用することによって、日常の自主衛生管理に効果的にフィードバックすることができます。
当研究所ではクレーム品の検査なども承っております。ご相談いただければ、お力になれると思います。

文責:一般社団法人 食肉科学技術研究所
事業統括部微生物部 中島誠人



