食肉科研では、成分検査、生物・物理検査に訓練された検査員による官能検査を組み合わせることで、食肉や食肉製品の『おいしさ』を評価しています。評価項目は、これまでの実績と経験を踏まえて、食感、味、香り、脂肪の質等の要素の中で、検査ご依頼の目的に合った品質特性を選んでお客様に提案します。
今回はその評価の一部を牛肉を例に紹介します。なお、牛肉は異なる飼料を給餌された3試料(対照品:A 試験品:B、C)で、と畜日からの日数を揃えたロース(芯)部位です。

旨味成分の評価は?

旨味成分の評価は、牛肉のロース芯(赤身部分)のペプチドや遊離アミノ酸を測定して行っています。アミノ酸によって形成されるタンパク質には味はありませんが、タンパク質が分解されて生じる遊離アミノ酸は呈味をもっています。「旨味」に関するアミノ酸としてグルタミン酸及びアスパラギン酸の量を、「甘味」に関するアミノ酸としてアラニン及びグリシンの量を、「コク味・まろやかさ」に関するペプチドとしてカ
ルノシン等の量を、「風味・旨味」に総合的に関与するアミノ酸として、遊離アミノ酸総量を基に対照品と比較して試験品を評価します。(表1参照)

テクスチャー(食感)の評価は?

食感はおいしさの重要な要素です。テンシプレッサーで「硬さ」、「弾力性」、「脆さ」等を測定し、食感を数値化しています。また、多汁性(ジューシーさ)の評価では、生肉の状態での肉汁の保持力を示す「保水性」、加圧後の多汁性を示す「圧搾肉汁率」、加熱時の肉汁損失率を示す「加熱損失率」等を測定しています。保水性、圧搾肉汁率は、数値が大きいほど肉汁を内部に保持する能力が高く、加熱損失は、数値が小さいほど加熱調理時に肉汁に含まれるタンパク質や脂質等が溶出されにくく、ジューシーであることを示す目安になります。(表2参照)

脂肪の質の評価は?

脂肪成分の評価では、脂の硬さ、口溶け、舌触りに影響する「脂肪の融点」、ロース芯中の脂肪交雑に影響する「脂質含量」、「脂肪酸組成」や「飽和」及び「不飽和脂肪酸」の割合を測定しています。不飽和脂肪酸の割合が多くなると脂肪の融点は低くなりますし、芯中の脂質含量と脂肪交雑(サシの度合い)は、正の相関があります。また、脂肪酸のうちオレイン酸等は、特に脂の香りや甘味にプラス要素となります。(表3参照)

食味の評価は?

今回の牛肉の官能評価では、食感として軟らかさ・多汁性(ジューシーさ)、味として甘味・旨味・コク味(濃厚な味わいや持続性)の強さ、風味(食した時の味と香り)の強さ、脂肪の質として滑らかさ(口どけの良さ)とし、それらを採点法により評価し、「総合評価」を付け加えました。(官能レーダー図1、2参照)

おわりに

おいしさは人間が五感を使って感じるものであり、『おいしさ』を評価するために最も優れた方法は、訓練された検査員による官能検査と考えます。食肉科研は、この「官能検査」を行える優秀な検査員を揃えていますので、食肉や食肉製品の差別化を図りたいご要望がございましたら、お気軽にご相談ください。

文責:一般社団法人 食肉科学技術研究所
事業統括部理化学部 吉田由香