輸入食品の検査について

我が国の20世紀の食料自給率は、減少する一方でしたが、2000年代に入ってからは概ね横ばい傾向で推移しているもののカロリーベースの食料自給率については、令和5年度は前年度並みの38%でした。そのため、国内で生産できない食料は海外から輸入しています。その輸入食品は厚生労働省が行うモニタリング検査や行政検査、食肉科研も担っている食品衛生登録検査機関による検査が行われています。厚生労働省が輸入食品に対して行う監視指導結果によると、令和5年度は輸入届出件数約 235 万件のうち 0.03%に相当する763件 (延べ812件) に法令違反が確認されています。令和5年度の違反の傾向についてまとめてみました。(厚生労働省HPより)

【国別違反件数(全体)】

令和5年度の違反した生産国は延べ52ヶ国でした。国別では中国 (26.5%)、アメリカ (13.5%)、ベトナム (8.3%)の順に多く上位3か国で約半分 (48%)を占めました。

【国別違反件数(全体上位10ヶ国)】

中華人民共和国アメリカ合衆国ベトナムインドタイイタリア大韓民国台湾インドネシアトルコ
2061006361513730251613

条文別の違反件数(全体)

条文違反件数割合(%)主な違反内容
第13条 (成分規格等)(延数)495 (実数)45960.9食品又は添加物の規格基準違反
第6条 (有毒有害物質等)(延数)226 (実数)22427.8腐敗・変敗、アフラトキシン、有毒・有害物質等の含有
第12条 (指定外添加物)(延数)42 (実数)395.2指定外添加物の使用
第18条 (器具・容器包装)(延数)46 (実数)384.7器具又は容器包装の規格基準違反
第62条 (おもちゃ等への準用規定)(延数)3 (実数)30.4おもちゃの規格違反
(延数)812 (実数)763100

条文別の違反件数は、1番多かったのは第13条で「食品又は添加物の基準及び規格」の違反で成分規格不適合(農薬、動物用医薬品の残留基準超過)、添加物の使用基準不適合(ソルビン酸、二酸化硫黄等)、その他加工食品の成分規格違反(大腸菌群陽性等)ですが、実数459件 (延べ495件)でした。2番多かったのは第6条で「食品又は添加物の基準及び規格」の違反で腐敗・変敗、アフラトキシン、メタノール*等の有毒物質、病原微生物による汚染ですが、実数224件(延べ226件) でした。アフラトキシンはカビ毒です。3番目に多かった第12条は指定外添加物の使用された違反で実数39件(延べ42件)でした。以下の添加物は他国では使用が認められていますが、日本では使用が認められていません。そのため、輸入者の添加物の知識が不足していること等で違反となり、廃棄や積み戻し等を指示されてしまいます。

(例)TBHQ(酸化防止剤)、サイクラミン酸(甘味料)、アゾルビン(着色料)等

このように、日本の食生活は輸入食品によって支えられていますが、海外と日本とでは、農薬や添加物の基準が異なることが多くあります。そのため、輸入食品に対しては、厳しい監視と検査が行われており、日本の食の安全が守られています。

*メタノール: アルコール飲料中の含有基準を超過したもの。

文責:一般社団法人 食肉科学技術研究所
品質保証部 柴田清弘