当研究所は、関係団体にお招きいただき、JASや食品衛生に関してお話させていただく機会があります。加えて、数年前から、食肉そのものについて社員に勉強させる機会を持ちたい、という企業様(以下「G社」とします。)からのご依頼をいただくようになりました。
ご依頼の経緯、趣旨
G社は、食肉の生産、加工、販売、そして外食産業まで幅広い事業展開をされているグループ会社の中核企業です。グループ会社では国産の牛肉・豚肉の輸出などにも取り組んでおられます。食肉の開発や品質向上にも非常に熱心で、その1つとして当研究所の検査をご利用いただいています。
その関係で、2020年、コロナ渦にあっても営業を中心とした若手社員に食品衛生について学ばせたいので、まずはオンラインで講義してほしいとご依頼をいただきました。お役に立つなら、ということで、定期講習を開催することとなりました。
参加者は、1回当たり10名程度、G社の会議室にお集まりいただき、次のようなテーマで、質疑を含めてお話しました。
○食品衛生法と食肉
○5Sと一般衛生管理
○HACCPって何?
○食肉の生物的危害
○食肉、食肉製品とカビ
講習の後期では、対面での講習が可能になりましたので、事業所を訪問して、参加者の皆さんに質問しながら進めることができました。
そうした経緯があり、2021年、今度は新入社員向けの勉強会をシリーズでやれないか、とのご相談をいただきました。その目的は、事務方も含めて従業員に食肉についての知識を高めてもらう機会を持ちたい、栄養面において食肉は優れた食品であることの理屈を持ち、いずれはお客様にお伝えできる人材を育てたい、というものでした。
このお話をいただいたときに、理念に基づく人材育成を考えておられることに感激し、同時に、できる限り協力させていただきたいと思い、ありがたくお引き受けすることにしました。
それから3年が経過しましたが、今年も実施させていただきました。
今年度の様子
今年度は、5月、6月に計4回開催されました。4月に入社された、ホヤホヤの若手社員10名が各部署に配属される前の、落ち着かない時期でしたが、集まりやすい環境にある、とのことで、1回当たり約1時間、G社の会議室に集合してもらい、当方から私と中村幸信課長が出向く形式でした。参加者は高校を卒業して入社された方も多くいらっしゃいました。
第1回-開講します
第2回-肉の色を知ろう
第3回-お肉の安心
第4回-なぜお肉をたべるのか?
第1回では、全国食肉事業協同組合連合会のホームページにある「おにクイズ」から、皆さんに出題しました。例えば、
○うしの「らんぷ」はどの部位でしょう?
○牛脂をタロー、豚脂をラードと呼ぶが、溶けやすいのはどっち?
○「和牛」と「国産牛」って同じ意味かな?
などです。クイズなので間違えても良いですから、全員が回答できるように順番に指名させてもらいました。
そして、身近な話として聴いていいただきたかったので、「とんこつラーメン」と「鶏ガラのラーメン」を比べたら、「とんこつラーメン」の方が脂が固まりやすいのは、脂肪の融点が関係しているから、と余談を交えました。
第2回は、中村課長から、お客様が購入を決定するときに重要となるのが「色」であり、食肉はなぜ赤く見えるのか、などをお話しました。第2回になると、新入社員同士のコミュニケーションも取れてきたようで、和やかな雰囲気で、あっという間の1時間となりました。
第3回は、と畜場からお客様が食肉を調理するまでの各段階で、事故を起こさないためには、「付けない、増やさない、排除する」のどれに気を付ければよいでしょうか、など皆さんに質問し、食肉に関係がある、過去に起きた食中毒事故をお話しました。そして第4回は、食肉には他の食品よりもたん白質が豊富に含まれていて、栄養価に富んだ食品であり、脂質も身体にとって大事な役割があることをお話しし、最後に、「これからのご活躍をお祈り申し上げます。一緒に仕事ができることを期待しています。」と結びました。
日頃10代の方とお話しする機会がほとんどない私にとって、この勉強会は、積極的な発言を引き出すことの難しさを実感し、また、興味が持てる情報の伝え方を改めて考えさせられる場になっています。

文責:一般社団法人 食肉科学技術研究所
専務理事 猪口由美



