大豆ミート食品類の日本農林規格(以下「JAS」という。)は、令和4年2月24日に制定されました。規格は「大豆ミート食品」と「調製大豆ミート食品」の2つです。
『作り方JAS』ですので、ハムソーセージのように水分、粗たん白質など製品の検査はありません。作り方がJASに合っているかを工場の担当者が記録等をチェックして、合っていればJAS品を出荷できる、という規格です。また、JASマークも『特色JAS』の富士山マークです。
当研究所は令和4年7月8日に大豆ミート食品類の登録認証機関となり、この4月に2工場を認証しました。認証状況はホームページに掲載しています。規格制定から1年が経過しましたので、制定の経緯等を振り返ってみたいと思います。
JAS提案の背景と議論(日本農林規格調査会審議内容から)
JASの制定、改正に当たっては、パブリックコメントを経て日本農林規格調査会で審議されます。大豆ミート食品類については、令和3年12月14日に審議されました。
世界的に多様化する消費者ニーズに対応し、良質なたん白質を含む大豆たん白が注目されてきている中で、国内の市場規模は、日本能率協会研究所の情報によれば、出荷金額として2020年で25億円、2025年で40億円が見込まれており、今後も拡大することが予想されています。そういった市販の大豆ミート製品は、畜肉などを含む動物性の原材料を含むようなものや、肉に似せるために、ビーフエキスやポークエキスなども含んだ調味料が使われているものなど、様々なものが市場に出回っているという状況にあります。
日本でも昔から豆腐、納豆などの大豆加工品については食されてきましたが、新たな大豆の取り方として、大豆ミート製品とはどういうものか、消費者に正しく商品を選択していただくために、JAS化が提案(検討主体:大塚食品株式会社)されました。
パブリックコメントには70件の意見が寄せられました。JAS制定に対する影響の大きさ、関心の高さが窺えます。特に「大豆ミート」という名称を用いることに対しては、多くの畜産関係者から意見が提出され、肉でないのに「ミート」という用語を当てることは適当でないなどの指摘がありました。このような指摘も踏まえ、農林水産省は再度内容を検討し、1つは表示の選択肢として「大豆肉様食品」というものも認める、もう1つは肉を使用していないという表示を義務付けるといった修正を加えて農林物資規格調査会に諮られました。

その他に、大豆ミート食品の大豆たん白質含有率が10%は低いのではないかという意見があり、農林物資規格調査会でも議論されていました。これについて農林水産省は、現在市販されている大豆ミート製品の比較対象として、食肉製品のハンバーグ、ソーセージ、ハム、ミートボール、チキンナゲット、メンチカツ等のたん白含有率については9.9~18.6%の範囲(日本食品標準成分表2020(八訂))であることから、大豆ミート食品の大豆たん白質含有率の基準は10%以上が妥当であると説明しています。
農林物資規格調査会で農林水産省担当官は、この規格の目的としては消費者に分かりやすく情報を届ける、それが一番大きい、規格は作って終わりではなくて、これが始まりである、JASで物差しを作って、それを広めるということが大切なので、規格を消費者の方々に周知させていただきたいと発言されていました。
JAS制定から1年が経過し、JAS認証事業者は全体で5(令和5年5月25日現在)、登録認証機関は食肉科研の他に1機関ですので、まだまだこれからのJASと言えると思います。
大豆ミート食品類JASにご興味がありましたら、ご相談いただければと思います。

文責:一般社団法人 食肉科学技術研究所
専務理事 猪口由美



