輸入食品の検査について

輸入食品は厚生労働省が行うモニタリング検査や行政検査、食肉科研も担っている食品衛生登録検査機関による検査が行われています。

厚生労働省が輸入食品に対して行う監視指導結果によると、令和3年度は輸入届出件数 245 万 5182 件のうち 0.03%に相当する 809 件(延べ 857 件)に法令違反が確認されています。それら違反食品には荷の積み戻しや廃棄などの措置が講じられています。その中でも食肉製品に注目し、ここ 5 年間の違反の概要をまとめてみました。(厚生労働省 HP より)

(厚生労働省HPより)

国別の違反

直近5年間の違反件数は2022年度が最も多く18件でした。違反国数も最多の7ヵ国になっています。国別ではスペインが15件、イタリアが13件、中国が10件の順でした。2020年度までは最も多かったイタリアは、2022年1月にアフリカ豚熱(ASF)の発生が確認され、豚肉等の輸入停止措置が講じられて、現在も輸入が止まっています。イタリアの代替としてスペイン産食肉製品、主に生ハムの輸入が増えていますので、違反件数も2021~2022年度はスペインが最も多くなっています。

【国別】

全体アメリカ合衆国イタリアスペインタイ台湾中華人民共和国トルコニュージーランドフランスベトナムマレーシア
2018年度1104120300100
2019年度804200101000
2020年度1015220000000
2021年度1000431200000
2022年度1810600410312
5721315711011412

不適格内容

違反件数が多い検査項目は E.coli と水分活性で、どちらも 14 件でした。国別で見ると E.coli は中国及びタイが多い傾向でした。リステリア・モノサイトゲネスの違反は2018~2022 年度の 5 年間で 8 件あり、スペインが 5 件、イタリアが 3 件でした。リステリア・モノサイトゲネスは平成 26 年 12 月に、非加熱食肉製品の成分規格に「検体 1 gにつき 100 以下」と設定されています。中には基準の 500 倍を超える事例が 2 件ありました。

また、乾燥食肉製品の違反のほとんどは水分活性の超過によるもので、スペインが 7 件、フランスが 4 件、イタリアが 3 件の順でした。

その他の違反は、本来、挽き肉で非加熱食肉製品を製造する場合、亜硝酸ナトリウムを使用する塩漬工程が必須であるが、その亜硝酸ナトリウムが不使用及び乾燥時の製品の温度が不適の製造基準不適合(2020 年度)、添加物の使用基準不適合(2022 年度)でした。

【不適格内容】

全体E.coli大腸菌群黄色ブドウ球菌リステリア・モノサイトゲネスサルモネラ属菌亜硝酸根水分活性その他
2018年度1123111030
2019年度821030020
2020年度1011111113
2021年度1032012020
2022年度1861020162
571482842145

製品群別不適合

製品群別では加熱食肉製品(加熱後包装)が17件と最も多く、続いて非加熱食肉製品及び乾燥食肉製品がそれぞれ16件の順でした。加熱食肉製品は加熱後包装及び包装後加熱を合わせた25件のうち、中国(9件)とタイ(7件)で6割を超えています。一方、非加熱食肉製品及び乾燥食肉製品はEUがすべてで、スペインが15件、イタリアが13件、フランスが4件でした。

【製品群別】

全体加熱食肉製品(加熱後包装)加熱食肉製品(包装後加熱)非加熱食肉製品乾燥食肉製品
2018年度112333
2019年度81133
2020年度102161
2021年度104222
2022年度188127
571781616

我が国のカロリーベースの食料自給率は、直近(令和元年度)では、38%となっています。2018 年末に発行された TPP11 や日 EU・EPA に伴い、関税の撤廃が進む中、食肉製品の輸入量はますます増えると見込まれます。当研究所も政府の代行機関とされている食品衛生登録検査機関の責務として適切に輸入食品の検査を行うとともに、食肉製品以外の食品検査へのニーズにもお応えしたいと考えています。

文責:一般社団法人 食肉科学技術研究所
品質保証部 柴田清弘